「ドコモ・モバイル・サイエンス賞」の歴代の受賞者

「ドコモ・モバイル・サイエンス賞」の歴代の受賞者のリスト(一覧)です。 先端技術部門の優秀賞の現在の選考結果をリストにしました。 過去から2017年までを網羅しています。

2002年に創設

ドコモ・モバイル・サイエンス賞は、2002年に創設されました。 主催するのは「モバイル・コミュニケーション・ファンド」という団体。これは、ドコモが社会貢献活動の一環として設立したNPO法人です。

モバイル分野の研究者が対象

「40代以下」が条件

ドコモ・モバイル・サイエンス賞は、モバイルや携帯電話、あるいは情報通信全般に関する研究者・開発者に対して贈られます。 審査の対象は、論文や著書など。 若手の研究者を育成することを重点の一つとしており、「50歳未満」という年齢制限があるのが特徴です。 つまり、40代以下が対象になるということです。 通常、この類の賞は、ベテランの大物研究者に贈られることが多いですが、ドコモ賞の場合は、40代や30代に大きなチャンスがあります。

賞金600万円

3種類の部門

賞の種類は「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」 の3つがあります。 賞金はそれぞれの部門に600万円です。

春に募集し、10月ごろ発表

例年、毎年3月上旬ごろから5月下旬ごろまでに募集をかけます。 選考結果は、10月上旬ごろに発表されます。 授賞式は、10月下旬~11月中旬です。

2010年代

受賞者 所属 理由
2017 中尾彰宏
(なかお・あきひろ)
東京大学・大学院情報学環教授・学際情報学専攻長 ネットワーク仮想化におけるSDNのデータプレーンをもソフトウェア化する Deeply Programmable Network(DPN)を世界に先駆けて提唱した。それを実証する仮想化ノード"Vnode"プロジェクトをNICT委託による産学連携プロジェクトのリーダとして推進した。今後第五世代移動通信(5G)やIoT時代において多様化する情報通信サービスに対応する柔軟な通信基盤の実現に大きく貢献することが期待される。
2016 高橋健太
(たかはし・けんた)
日立製作所・研究開発グループ・ユニットリーダ・主任研究員 個人情報である生体情報の安全性を保証しつつ共通利用が可能な「公開型生体認証基盤(PBI:Public Biometrics Infrastructure)」のコンセプトを提案。次世代生体認証の基礎理論を構築し、世界初の実用化に成功した。
花岡悟一郎
(はなおか・ごいちろう)
産業技術総合研究所・情報技術研究部門・研究グループ長
村上隆夫
(むらかみ・たかお)
産業技術総合研究所・情報技術研究部門・研究員
松田隆宏
(まつだ・たかひろ)
2015 鳥澤健太郎
(とりさわ・けんたろう)
ユニバーサルコミュニケーション研究所 数10億ページにも及ぶWeb上の日本語テキストを利用して、様々な質問に回答する大規模Web情報分析システムWISDOM Xと、対災害SNS情報分析システムDISAANAを開発するとともに、誰もが利用できるようにWeb上で一般公開している。
橋本力
(はしもと・ちから)
呉鍾勲
(おう・じょんふん)
田仲正弘
(たなか・まさひろ)
水野淳太
(みずの・じゅんた)
クロエツェー・ジュリアン
川田拓也
(かわだ・たくや)
後藤淳
(ごとう・じゅん)
藤井秀明
(ふじい・ひであき)
大竹清敬
(おおたけ・きよのり)
耐災害ICT研究センター情報配信基盤研究室・室長
乾健太郎
(いぬい・けんたろう)
東北大学大学院情報科学研究科教授
岡崎直観
(おかざき・なおあき)
東北大学大学院情報科学研究科准教授

ギガを目指すNTTドコモ(2005年10月)

イー・アクセスなど新規参入組への対抗策

イー・アクセス、ソフトバンクなどの新規参入組に対して、NTTドコモなど既存の携帯電話事業者はどのようなロードマップを描くのか。

W-CDMAの拡張方式HSDPAに移行
イー・モバイルと同じ方式

国内最大の携帯電話会社NTTドコモは、2006年の早い段階でW-CDMAの拡張方式HSDPAに移行する。イー・モバイルが採用するのと同じ方式だ。予想では2009年頃、第四世代を一部先取りした「スーパー3G」方式を採用する。通信速度は30M~100Mbps。

「FOMA」の高機能版

ドコモは、スーパー3Gを3.9世代と位置づけている。HSDPAやスーパー3Gはおそらく、現行のW-CDMAを採用した第三世代(3G)サービス「FOMA」の高機能版として位置づけられる。

901i、701iは、最大384kbps

現行の901i、701iといったFOMA端末は、通信速度が最大384kbpsなので、HSDPAの導入で速度は激的に向上する。ちなみに、506i、253iといった従来のPDC方式「mova」向け端末は、最大28.8kbpsしか出ない。

4Gでは1Gbps

ドコモの最終的なゴールは、2010年以降に切り替えると見られる、第四世代の携帯電話(4G)。4Gでは、屋内で固定的に使うシーンでは1Gbps、屋外で移動中に使う場合は100Mbpsで通信できる。

フィールド実験で成功

1Gbpsといえば、光ファイバーを用いたFTTHサービスでも一部サービスでようやく実現した速度。夢のような話だが、ドコモは既に、フィールド実験で1Gbpsの通信に成功している。

ADSLでもダウンロードできない動画にも対応

実際には電波を複数ユーザーで共有するため、実効速度は無線LANのように落ちる。それでも現在のADSLでもダウンロードできない高精細な動画、高音質な音楽が携帯電話でダウンロード可能になる。2010年を境に、有線と無線をスピード面で区別するのは無意味になりそうだ。

負けてはいないKDDI
「CDMA 1X」と「同1X WIN」でイー・アクセスに対抗

auを提供するKDDIも、イー・アクセスやソフトバンクに対抗して、段階的に通信速度を向上させる計画を明らかにしている。KDDIは現在、「CDMA 1X」とその上位互換の第三世代方式「同1X WIN」の2種類のサービスを提供中。1Xの通信速度は144kbps、1X WINは最大2.4Mbpsである。

通信速度を3.1Mbpsに引き上げ

KDDIとauは、2006年に1X WINの通信速度を3.1Mbpsに引き上げる。1X WINはCDMA2000の拡張版EV-DOを採用したサービスだったが、後継規格のEV-DO Revision A(Rev.A)にアップグレードする。Rev.Aにより3.1Mbpsを達成した後、2007年以降には最大10Mbps程度のRevision B(Rev.B)が導入可能になると同社では想定している。

次世代CDMA2000

ギガクラスを視野に入れるドコモに対抗し、KDDIも2010年頃に実用化可能な次の世代の新技術にフォーカスしている。それが次世代CDMA2000で、世界のメーカー29社と共同で標準化を進めている。次世代CDMA2000は、スペック的にはNTTドコモなどが推進する4Gと同じ。固定シーンでは1Gbps、屋外移動中は100Mbpsの通信速度を実現する。

auのウルトラ3G

通信速度の向上と並行して、KDDIは「ウルトラ3G構想」を掲げている。ウルトラ3Gとは、KDDIとauグループが今後提供する様々な通信/通話サービスを継ぎ目なくつなげるアイデアだ。

無線LANと携帯電話のハンドオーバー

ウルトラ3Gにより、例えば先ほど紹介した無線LANと携帯電話のハンドオーバーが可能になる。他にも、携帯電話で話した内容を文字メッセージとしてパソコンへ届け、逆方向はメッセージを音声化するリアルタイムチャットサービスも実現可能という。(島田雄貴)

イー・アクセスにおサイフケータイで対抗(2004年12月)

イー・アクセス、ソフトバンクなど新規事業者の参入に、番号ポータビリティーの実施。押し寄せてくる変化にNTTドコモやKDDIなどの携帯電話事業者、さらには携帯向けコンテンツで既に事業を展開している企業はどう対応しようとしているのか。その一例が、外資系ファンドが高利回り物件を競って買いに走る不動産投資で昨今、注目を集めている福岡市にあった---。プラットフォームとコンテンツの分業の行方について分析します。

NTTドコモ

福岡中心部のJR博多駅から快速電車で数分の吉塚駅前に最近、利回りとは違う意味で人気が高まりそうな賃貸マンションがオープンした。物件の名称は「ジョイナス吉塚」。

非接触型IC「FeliCa(フェリカ)」

全148戸のこのマンションは、すべての部屋が2004年夏からNTTドコモが発売し始めた新型の携帯電話機で、ドアの鍵を開閉できる。開閉錠に使われる機種は「おサイフケータイ」と呼ばれ、ソニーが開発した「FeliCa(フェリカ)」という非接触型ICが搭載されている。

代表例はJRのSuica(スイカ)

フェリカの代表的な利用例は東日本旅客鉄道(JR東日本)が2001年から導入した電子切符の「Suica(スイカ)」があるほか、最近では、航空券の電子チケットや量販店のポイント精算、コンビニエンスストアなどでの決済と用途が拡大している。こうした幅広い分野で使われている技術を建物の入退に応用したのがジョイナス吉塚の例だ。

KESAKAシステム

「鍵の管理は、マンション管理業者にとって大きなコスト要因。携帯電話で鍵の付与や返却が可能になれば、コスト圧縮に役立つ」。このマンションを管理、運営する早川不動産のグループ会社、KESAKAシステム(福岡市博多区、早川眞市社長)の八木ソリューショングループ・マネージャーは、おサイフケータイを採用した理由の一端を明かす。

携帯電話機で鍵の引き渡しを容易に

カードを使って入退室を管理する例はオフィスなどで以前から見られるが、携帯電話機を利用することで、鍵の引き渡しをネット経由で容易にできる。居住者が鍵を紛失したり壊したりした際にも、必要な合鍵を遠隔地から送信でき、人手や手間を省略できる。また居住者にとっても、知人などに自室の鍵の引き渡しが楽になる。「日時限定の電子合鍵を知り合いに送ることも可能」(八木氏)。

ドラッグストアのお買い得情報

KESAKAシステムでは、鍵の授受以外でも、契約者の利便性を増していく計画だ。例えば、近隣の小売店の特売情報など、鍵の開閉時に携帯電話機の液晶パネルなどに表示する計画だ。ジョイナス吉塚には1階にドラッグストアが入居する。手始めに居住者が鍵を使う際に、このドラッグストアのお買い得情報などを提供していく。

フェリカネットワークス

「消費者の生活動線上のあらゆる場で、利用を考えていきたい」。おサイフケータイの基盤技術を開発するフェリカネットワークスの河内聡一社長は言う。同社はソニーとドコモが2004年1月に設立した共同出資企業で、同5月にはJR東日本も株主に加わっている。

生活動線とともに河内社長が重視するのは現実空間との接点。ネットという仮想空間にとどまるのではなく、朝に家を出てから駅の改札、小売店のレジ、自動販売機と、利用者が1日の活動で出合うさまざまな場所でおサイフケータイを活用する機会を作れば、消費者からの支持を得られ、収益基盤は安定すると河内社長は見る。

ソフトウエアなどのライセンス収入

フェリカネットの収益源は、ICチップやサービスに必要なソフトウエアなどのライセンス収入になる。ただし、同社は利用を広げるため、ライセンス料を抑える方針だ。「この事業で大きく儲ける気はない」と河内社長は言い切る。

携帯電話を活用する場が広がればいい

株主のドコモも配当や連結収益での貢献をフェリカネットに大きく期待しているわけではない。それよりもフェリカの普及で、携帯電話を活用する場が広がり、それに伴って情報伝送の機会が増えれば、料金収入が増えるという計算だ。

インフラからサービスへ

インフラからサービスへ――。携帯電話をはじめ通信業界は今、収益の源泉を新しいカテゴリーにシフトすることを迫られている。その象徴とも言える出来事が、第3世代方式(3G)に世界の先陣を切って投資してきたドコモの収益力に陰りが出てきたことだ。

通期で初の減収減益(営業利益)

NTTドコモの2005年3月期連結決算は、営業利益は8300億円と前期より20%以上落ち込む見通しだ。確定すれば通期で初の減収減益(営業利益)決算となる。

「ARPU」(アープ)の下落。
メールなどは単価の安いパケット料金が適用

7000円割れはいつ起きるのか。携帯電話業界で注目されている「ARPU」という数値がある。アープと言い、1契約者当たりの月間平均収入を指す。ARPUは通話料収入の減少や、単価の安いパケット料金が適用されるメールの広がりなどの影響で、ここ数年下降が続く。

ムーバから「FOMA」に移行で通信料が下落

ドコモの場合、2000年3月期に音声とパケット通信のARPUは計8820円だったが、2004年3月期には7890円になっている。2000年3月期は第2世代方式「ムーバ」のみの数値で、2004年3月期はムーバと3Gの「FOMA」を合わせた数値だ。

定額制導入も大きく影響

FOMAのみのARPUを見ると、サービスが始まった2002年3月期は8750円、2004年3月期に1万280円と増加してきた。しかし、2005年3月期は9550円の見込みと、パケット料金の定額制導入で減少に転じる。

契約者の伸び率が上回るならば収入は増える

今後はムーバからFOMAへの切り替えが進むと見られるため、FOMAのみで見ればARPUの下落率以上に契約者の伸び率が上回るならば収入は増えていく。

テレビ電話で上積み

ドコモによれば、ムーバとFOMAの合計ARPUでも、2005年3月期は前年より700円減の7190円の見通しと、7000円割れ寸前の状況だ。ドコモはその打開策の1つとして、情報伝達量が多いテレビ電話などAV(音響・映像)系サービスの浸透などで料金収入の上積みを狙う。

イー・アクセスの参入で競争激化

ただし、ライバルのKDDIがドコモより安い定額サービスで攻勢を強め、さらにソフトバンクやイー・アクセスなどが狙う新規参入が認められれば、競争激化で落ち続けるARPUを引き上げるのは容易ではない。

おサイフケータイなど新しい付加価値

それでなくても利用者からは、現在のサービス水準では料金に対する割高感がある。利用者から対価を得るにはおサイフケータイなど新しい付加価値を多面展開する必要がある。それには、現在の企業構造の見直しを迫られるかもしれない。

水平分散型の構造変化

ネットワークとプラットホーム、コンテンツ。SOZO工房の太田取締役は今後、通信サービスの収益構造は大きく3つに分かれると指摘する。

料品スーパーの商品を高齢者がリモコンで遠隔購入

太田氏はメリルリンチ日本証券で通信担当アナリストとして一線で活躍していた。大病を患ったことや、米エンロン事件などを契機に証券アナリストの役割が変化してきたこともあり、現在はメリル日本に籍を置きながら、昔の仕事仲間と会社を起こし、通信産業に対する新たなコンサルティングを模索している。例えば、地場の生鮮食料品スーパーの商品を高齢者がリモコンで遠隔購入できるようになれば、高齢化の進展もあり十分事業はチャンスがあるとみて、地場の最大手生鮮スーパーの株式時価総額を調べている。

プラットホームとコンテンツが分化

太田氏によれば現在の通信会社の構造はネットワークと、音声というコンテンツを提供する垂直統合型だ。これが高速大容量化や通信と放送の境界が薄まるにつれて、イー・アクセスやNTTドコモが担うネットワークと、プラットホーム、コンテンツが分化する水平分散型の構造に変化していくと見る。おサイフケータイの基盤技術を担うフェリカネットは、プラットホーム機能が分化した企業と言えるだろう。

KDDIは「EZチャンネル」

フェリカという電子決済では、競合のドコモに先んじられたKDDIは、電子決済ではフェリカネットと提携するが、別のプラットホームは独自に構築する。フェリカ搭載の携帯電話機を来秋にも提供する一方で、KDDIは「EZチャンネル」という映像配信の事業基盤を既に自社内で築き、サービスを開始している。

「コンテンツは水平展開」とKDDIの小野寺正社長

固定回線同様、無線回線も高速大容量化する時代、当然のように映像は重要なコンテンツ。KDDIはコンテンツそのものは専門の会社に基本的に任せ、制作された映像を契約者に配信する仕組み作りに特化した。「プラットホームは自社の経営資源で構築し、コンテンツは水平展開する方針」とKDDIの小野寺正社長は言う。

ポータルサイトの信頼性

プラットホーム機能の整備で、コンテンツ機能を担う会社にとっては、武器になるのがポータル(玄関)サイトとしての信頼性だ。既にその重要性を認識して、新しいビジネスモデルの模索に乗り出す企業も表れている。

着メロ市場規模は700億円以上
iモード公式サイト「着信メロディGIGA」

今や携帯電話の必須機能とも言える状況になった着メロ。市場規模は700億円以上とも見られる。ドコモのiモード公式サイト「着信メロディGIGA」を運営する三愛は、市場の飽和に対応して、着メロのダウンロード料金以外の収益機会を狙う。その1つが他企業の販売支援事業だ。サイトにアクセスしてきた会員顧客に、提携する企業の商品を売り込もうとしている。

三愛ギガが、マンダムの販促イベント

三愛は2004年10月、化粧品会社のマンダムと提携して、マンダムが東京・渋谷で開催した女性用化粧品「ルシード エル」の販促イベントにかかわった。三愛の運営するGIGAのサイトにアクセスしてきた利用者にイベント告知を行い、集客に一役買った。着メロサイトが100を超える中で、マンダムが三愛と提携したのは「500万人を超える会員数とサイトに対する信頼感からGIGAを外すことは考えられないからだ」と、マンダムでこの販促の企画を担当したマーケティング部宣伝課の内山健司係長は言う。

販売本数が5倍

この販促企画では対象商品を購入して、商品に付属する記号を携帯電話から送信すれば、当日開催する様々なイベントに参加できる仕掛けを作った。東京・渋谷周辺の9つのドラッグストアと連携し対象商品を置いたところ、主な対象顧客の20代前半の女性が多く購入した。その結果、この日を含む週間の販売本数は、全国平均より約5倍多かった。このイベントで三愛は商品のCMの着メロがダウンロードされる以外は直接的な収益につながらない。だが、こうした実績を積むことで、消費者と企業を結びつけるノウハウを蓄え、販売支援事業から直接的な収益を上げる仕組み作りを狙っている。

携帯電話が販促メディアに

三愛は2000年から映画会社と提携して、着メロサイトにアクセスしてきた顧客に試写会の告知を行うと同時に映画の観賞対象になりそうな層が興味を引くような商品を持つスポンサー企業を集める活動をしてきた。2004年に入り、会員を特別に組織化して、居住地や属性を把握して、興味の対象を探る動きを始めた。現時点では、試写会の開催や会員の組織化といった販売促進事業関連で収益を稼ぐ、これといったモデルを構築できたわけではない。だが消費者が常に持ち歩き、親しみや信頼感を多く寄せるようになってきた携帯電話は、企業にとって大きな販促メディアに成長すると見る。

待ち受け画面の威力

店に行ってその商品を想起してもらえるかが、メーカーにとって商品の購買につなげられる大きなポイントだ。「生活の中で何度も触れる着メロや待ち受け画面は、消費者が自らの意思で入手している点で商品想起の威力は大きい」とマンダムの内山氏は言う。

ダイキンも着メロをGIGAのサイトに提供

家庭用エアコンでシェア1位に躍り出たダイキン工業。化粧品のように低価格ではなく、購入機会が限られるエアコンだが、着メロが販売のための強力なツールになると、キャラクターの「ぴちょんくん」を使った着メロをGIGAのサイトに提供している。

秋葉原など電気街に来たら携帯で広告

携帯電話は既存のメディアに比べて潜在的な顧客に安価に情報を伝達できると、ダイキンの宣伝担当者は評価する。同社は以前、東京の山手線車内に映像広告を出すか検討した。秋葉原など電気街の近辺に来た時に製品の自社広告を社内の液晶画面に表示できれば宣伝効果が高いと考えた。現時点ではシステム的に難しいと断念したが、携帯電話の機能が向上すれば、車内広告を利用しなくても可能と見る。

固定と無線回線の融合が進む

今後、通信ネット・インフラは固定と無線回線の融合が進み、将来は1つのID番号で固定通信も無線通信も可能になると見られている。時、場所を選ばない情報伝達がますます進化していく中で、上記のような顧客の要求は様々な形で広がろう。ネットワーク、プラットホーム、コンテンツの立場からいち早く顧客の要求に応えられたところが、次なる時代の勝者になる。(島田雄貴)

未来のある夫婦の1日

人と人の意思伝達にとどまらず、生活の様々な場面での活用が始まる

  • 7:00 出勤前、あらかじめ分野を指定したニュースを自分専用の端末で受信
  • 8:00 出勤時、電子改札で入場すると、冬の旅行キャンペーンを入手
  • 10:00 買い物に出かけるために外出、携帯電話でドアをロック
  • 12:00 お気に入りのデパ地下に入ると、今日のお買い得クーポンを入手
  • 14:00 外出先でのどが渇いたので、自動販売機で飲料を電子マネーで買う
  • 15:00 妻の両親が実家から訪ねてくる。空港で電子航空券を提示
  • 18:00 東京に着くと娘夫婦の家の合鍵が携帯電話に送られていた
  • 20:00 電子合鍵で娘夫婦の家に入ろうとすると、所用で出かけていた娘がちょうど帰宅

ソフトバンクとイー・アクセスが2強体制を崩せるか(2004年10月)

新規参入へ虎視眈々

携帯電話業界が揺れている。NTTドコモとKDDI(au)の2強体制にあるこの市場に、ソフトバンクBBとイー・アクセスが新規参入を虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。業界3位のボーダフォンも12月には新たな経営体制に刷新、2強を追撃する準備がいよいよ整う。PHS最大手のDDIポケットがデータ通信の高速化と音声通話サービスを拡充するなど、携帯電話市場をかく乱する動きも出てきた。他方、契約者が目減りしているツーカー・グループは今後も存続できるのか。「嵐の前の静けさ」にある携帯電話業界について分析します。

孫正義社長が総務省を相手に行政訴訟

「こんなアンフェアな行為が許されるのか」。ソフトバンクBBの孫正義社長の怒りは収まらない。総務省の電波行政を厳しく批判し、同省を相手取った行政訴訟にまで発展してしまったのだ。

800メガヘルツ帯をドコモとKDDIに

総務省は、携帯電話向け800メガヘルツ帯の周波数を再編成し、ドコモとKDDI(au)に割り当てる方針を示していた。この800メガヘルツ帯は、そもそもドコモとKDDIが使用している周波数帯だが、業務用無線にも利用されているため過密状態。そこで総務省は同周波数帯を再編成し、既存事業者のドコモとKDDIに改めて割り当て直す方針案を8月に提示。800メガヘルツ帯への新規参入の道が閉ざされた形だ。

「天下り先であるドコモとKDDIに配慮」

「(ドコモとKDDIは)未使用の周波数の在庫を持っている。(総務省はその両社に)さらに周波数を割り当てようとしている」。ソフトバンクBBの孫社長は、総務省が天下り先であるドコモとKDDIに配慮した密室行政を展開していると手厳しく批判する。

2ギガヘルツ帯は無線基地局の投資にお金がかかる

総務省は、1.7ギガヘルツ帯と2ギガヘルツ帯を利用した携帯電話事業への新規参入は認める方針を示している。だが、これら帯域より周波数が低い800メガヘルツ帯は、高層ビルなど障害物による音声の途切れが少ないため、設置する無線基地局数が少なくて済むコスト削減効果を期待できる。800メガヘルツ帯の方が、新規参入にかかる資金も時間も節約できるのだ。800メガヘルツ帯と2ギガヘルツ帯では、必要な設備投資額に「1000億-数千億円の差がある」(孫社長)という。

NTTの牙城を崩す

「(800メガヘルツ帯の)割り当てを受けてから2-3年で、全国をカバーする携帯電話事業を考えている」。孫社長は事業構想をそう披露する。日本テレコムを買収して固定電話事業に参入したソフトバンクグループは、携帯電話も手中に収め、何としてでも総合通信事業者に脱皮したい考え。非対称デジタル加入者線(ADSL)で仕掛けた価格破壊を固定・携帯電話でも展開し、”通信の巨人“NTTの牙城を崩すのが孫社長の野望だ。

1兆円でボーダフォンを買収?

「ソフトバンクは1兆円でボーダフォンを買収するのでは」。こんなうわさが業界内に流れたことがある。新規参入にかかる時間を買う買収劇を、固定電話に続いて携帯電話でも決断するのではないかという観測だ。

元ドコモ副社長の津田志郎氏が社長に

「その方がソフトバンクらしい」との見方もあった。だがボーダフォンは元ドコモ副社長の津田志郎氏が12月1日に社長に就任、2強を追撃する本格的な巻き返しに動く。身売り説は遠のいた。その余力で福岡ダイエーホークスの買収に向かったのだろうか。

いずれにせよ、同社が台風の目として携帯電話に参入できるかは、司法の判断にゆだねられることになった。

イー・アクセス

千本倖生社長が免許取得の検討を表明

「1.7ギガヘルツ帯の免許取得に向け、検討を開始した」。イー・アクセスの千本倖生社長は先週の会見でこう表明した。周波数帯が1.7ギガヘルツで、通信規格にFDD(周波数多重分割)方式を採用した3G携帯電話への参入に名乗りを上げたものだ。同社はすでに2ギガヘルツ帯のTDD(時間多重分割)方式による3G携帯の実証実験を進めており、FDD方式と両にらみで3G携帯への参入を目指すことになる。

種野晴夫COO

「(両方式の)投資効率などを比較」(種野晴夫イー・アクセスCOO=最高執行責任者)しながら、効率的に参入できる方式を模索する考えだ。

データ通信にフォーカス

「ソフトバンクは携帯の音声通話に参入すると言っているが、イー・アクセスはドコモやKDDIと真正面から戦う体力はない。モバイル(移動体)のブロードバンド(高速大容量)データ通信にフォーカスする」。千本社長は同社が描く携帯電話事業の青写真をそう語る。データ通信サービスを主体とし、音声サービスは付加機能と位置づけているようだ。2005年度中の免許取得、2006年度中のサービス開始が目標だ。

イー・アクセス株式を売却

イー・アクセスの筆頭株主は4日までソフトバンクグループの日本テレコムだった。だがイー・アクセスとソフトバンクはADSL事業などで競合。ソフトバンクは相乗効果を見込めないと判断し、日本テレコムが持つイー・アクセス株式を売却している。イー・アクセスの千本社長は「天の助けだ。実にいいタイミングで当社株を売ってもらった」と語り、資本関係が解消したことを歓迎する。ソフトバンクに気兼ねせず、独自路線で携帯参入を狙えるイー・アクセス。経営に勢いが出た同社がどこまで携帯市場をかく乱できるかが注目される。

ボーダフォン

電気通信事業者協会によると、9月末の携帯電話全体の累計契約数(シェア)は、ドコモが4688万台(55.9%)、KDDI(au)が1818万台(21.7%)、ボーダフォン1517万台(18.1%)。業界3位のボーダフォンは、2位とそれほど差が開いているわけではない。

3Gで出遅れる

だが、テレビ電話などが可能な高速大容量の第3世代(3G)携帯電話では、KDDIが1585万台(70.1%)、ドコモ648万台(28.7%)、ボーダフォン26万台(1.2%)と、2強との差は歴然だ。ボーダフォンは開発の遅れから3G端末がわすか2機種しかない。

600人が希望退職

この3Gでの出遅れが響き、ボーダフォンの05年3月期は売上高1兆5310億円(前年度比7.5%減)、経常利益1270億円(同29.9%減)と減収減益の見通し。7月末には約600人が希望退職した。

出資比率を高める

危機感を募らせた親会社の英ボーダフォン・グループは60%台だった日本法人への出資比率を約98%まで高めて影響力を拡大。世界26カ国で展開する国際戦略に完全に組み込んだ。

国際調達により端末コスト削減

手薄だった3G端末も、11月から12月にかけて新たに7機種を日本市場に投入。ボーダフォン・グループ各社の世界統一端末となるもので、国際調達により端末コストの削減も進める。

写メールの勢いを再び

12月には、ドコモ時代に3Gサービスやインターネット接続サービス「iモード」の誕生に尽力した津田志郎氏が社長に就任する。かつて「写メール」などのヒットを飛ばしたボーダフォンが再び勢いを取り戻せば、2強体制の足元もぐらついてくるはずだ。

DDIポケット
山下孟男社長

「縮小均衡から拡大路線に転じる」。DDIポケットの山下孟男社長がそう宣言した。筆頭株主がKDDIから米投資ファンドのカーライル・グループに変更し、KDDIのグループ戦略から解放されたことで、KDDIの領分に踏み込んだ事業拡大策を積極展開する考えだ。これまで高速データ通信や音声通話はKDDIと競合するため手を出しにくかったが、同社に気兼ねせずに済む。

NTTに支払う回線使用料(接続料)を浮かす

向こう5年間で約700億円を投資し、NTT交換機に依存しない独自ネットワークを構築する。NTT交換機を介さずにPHS基地局とインターネット・プロトコル(IP)基幹網を直結。NTTに支払う回線使用料(接続料)を浮かし、その余力をデータ通信や音声通話の低料金化につなげたい考えだ。

低料金化と高速化

2004年度中にKDDIの3G携帯より通信料金が安価で、通信速度が毎秒最大256キロビット(ウェブやメールの体感速度は1メガビット超)を投入するなど、低料金化と高速化でPHSの訴求を図る。KDDIは手放したDDIポケットに携帯事業を脅かされる可能性もある。

弱肉強食の携帯市場
ツーカーセルラー東京・東海・関西を子会社に

「12月をめどに、ツーカーグループ3社を完全子会社化する」。KDDIの小野寺正社長は、同社が60%前後を出資する3社(ツーカーセルラー東京・東海・関西)を100%子会社化し、「当社独自の判断で(3社)を迅速に処理できるようにする」と指摘。3社を本体に吸収・整理することなどを検討している。

解約が新規契約を上回る

ツーカーは音声通話とメール機能などに限定した第2世代(2G)携帯に特化。2Gから3Gへの移行が進む中で、9月末の累計契約数シェアはわずか4.3%。解約が新規契約を上回る厳しい経営が続いている。

データ通信料の値下げ競争

携帯電話市場は、2強のドコモとKDDIがデータ通信料の値下げ競争を繰り広げるなど、市場環境はますます厳しくなってきた。人口1億2000万人の日本で約8400万台が普及した携帯市場は、飽和に近づいている。弱肉強食の携帯市場は、いつまでも現行の業界勢力図が続くことは想定しにくい。退場を迫られかねない事業者がいれば、新規参入を虎視眈々と狙う事業者もある。

番号ポータビリティー制度が解禁

2006年には、携帯電話事業者を変更しても従来の電話番号をそのまま使える番号ポータビリティー制度が解禁される。契約者が他社に流れる”民族大移動“も予測される。厳しい競合を通じ、どこまで低価格で高品質なサービスが誕生するのか。利用者利便の大幅な向上が期待される。(島田雄貴)

イー・アクセス、大阪で二重運用(2012年3月)

イー・アクセスの大阪ネットワークオペレーションセンターについて。

NTTドコモも追随。設備監視し災害に対応

イー・アクセスは大阪にネットワークオペレーションセンターを構築し、東京と二重運用を始めた。首都直下型地震などの大規模災害に対応するため、大阪にもオペレーションセンターを設置。東京・大阪の二重体制で全国の基地局や交換機、サーバなどの設備を監視する。2012年3月中に高速無線通信サービス「LTE」を展開することから、通信網の安定性を確保する。

イー・アクセスは2012年3月8日に東京と大阪の二重体制によるネットワーク監視を始めた。二重監視体制を敷くため、昨年から教育や業務トレーニングを実施。2012年3月の段階で大阪に数十人の人員を配置した。段階的に増員し、東京と同水準の監視体制を構築する。大阪のオペレーションセンターの設置費用は2011年度の設備投資費370億円の中から捻出する。

通信会社の間では災害対策として西日本エリアにネットワーク監視の拠点を設ける動きが活発化している。NTTドコモは2012年度中に大阪に顧客管理システムを置いてバックアップ体制を強化。KDDIも2012年度中に大阪からネットワーク監視できる体制を整備する。

ドコモショップ再編-イー・アクセスに対抗(2005年8月)

ドコモショップとイー・アクセスの量販店戦略について解説します。

量販店に集約

NTTドコモは携帯電話の販売体制(ドコモショップと量販店)を再編する。スーパーや家電など量販店の集約を進める一方、専売店「ドコモショップ」は削減せずに集客力強化を目指したリニューアルなどを推進する。新規契約者が減少する中、量販店の集約により営業費用を削減。その一方で専売店を充実し、KDDI(au)などとの厳しい競合に臨む二面作戦を展開する。携帯市場は飽和に近づいており、コスト削減とシェア維持の両立を狙った新たな店舗戦略で収益の早期回復を目指す。

販売店の整理・統合

NTTドコモの販売体制は専売店の「ドコモショップ」、スーパーや家電などの量販店、競合他社の携帯電話も扱う携帯専用の併売店に大別される。このうち量販店を集約するのは「人件費などを抑制するためで、販売店の整理・統合は携帯各社で進むと思う」(中村維夫ドコモ社長)と指摘、他社に先駆けて店舗再編に取り組む。

経営資源を専売店に傾斜する方針

ドコモの2006年3月期の純増契約数(新規契約から解約を除いた数値)は187万5000件、前年度比で24.9%も減少する見通し。通信料の値下げなどにより解約率は改善(2005年度第1四半期〈4-6月〉は過去最低の0.80%)したものの、新規契約数の大幅減少を見込む。このため来店数が少ない量販店を集約し、経営資源を専売店に傾斜する方針だ。

カウンターを設けた形式へとリニューアル

専売店「ドコモショップ」は全国に約1300店を構える。店舗内は銀行の支店のように窓口カウンターを並べた形式。顧客が気軽に来店できるよう、入り口付近は携帯端末の展示場、その奥にカウンターを設けた形式へとリニューアルする検討に入った。すでに4-5月に東京、神奈川、群馬に計4店舗のモデル店を設置しており、集客力を見定めたうえで専売店のリニューアルを本格化する。

研究員
通信業界に詳しい研究員は「2006年秋には携帯電話会社を変更しても従来の電話番号を使える番号ポータビリティー制度が導入され、既存契約者が他社に流出しやすくなる。一方でソフトバンクやイー・アクセスなどが2006年度中の携帯参入を狙っている」と解説する。ドコモは魅力ある店舗づくりで既存契約者の囲い込みを狙う。

日米の通信関連技術と貿易収支の関連(1990年)

1990年代の日米の通信関連技術やその貿易収支についての報告です。

アメリカの対日赤字は危機的水準

日米の技術収支

日米の通商問題の根底には、貿易不均衡がある。 1980年代で1000億ドル以上も悪化したアメリカの貿易収支のなかで、対日赤字が半分近くになっており、最近の年間500億ドルを超える貿易不均衡は、もはや危機的水準にある。

輸送機械、事務用機械等の一般機械、半導体等の電子機器

わが国の貿易収支比(輸出/輸入)は、最近でも対米で2.1と突出しており(対世界で1.4)、製品別では自動車中心の輸送機械、事務用機械等の一般機械、半導体等の電子機器の順で開きが大きい。

日本が得意のハイテク製品

これらの大半は売上げに対して研究開発投資の大きい日本が得意のハイテク製品であり、アメリカはこれらの製品の貿易収支が、1980年代初頭の年間数百億ドルの黒字から1986年以降は一転して赤字基調になった。

技術収支は大きな格差

他方、特許料などの技術収支はわが国では1980年代の前半で入超傾向がかなり改善されたものの、対米では1986年で0.33(対世界で0.86)といぜんとして大きな格差を残している。

技術収支と製品貿易収支

この技術収支の状況を製品貿易収支とリンクさせると興味深い

輸送機械は生産の現地化が進む

わが国から見て技術収支が大幅な出超にある鉄鋼、技術輸出が比較的大きい輸送機械(収支比は0.5)は、いずれも生産の現地化も進んでいる。

一般機械、電子機器の技術移転は低調

一方、製品貿易で輸入の数倍の輸出が続く一般機械、電子機器では、わが国からの技術移転は低調であり、対米技術収支比はいずれも0.2程度にとどまっている。

技術収支比

これはコンピュータ関連の技術導入のウェイトが高いからで、わが国の不得手なソフトが絡むだけに、今後もこの技術収支比はなかなか伸びないだろう。

世界各国のコンベンション・ビジネス動向(1990年3月)

IT、通信関連の見本市の会場となる大規模コンベンションセンターについて、世界各国の動向をリポートします。

ソフトコンビナートのノウハウに注目

ドイツの取り組みに学ぶ
ハノーバーは東京ドームの20倍

ハノーバー・メッセ会場の総面積は97万平方メートルで、日本の晴海の見本市会場の4.7倍、東京ドームが20個入る広大なソフトコンビナートといえる。

財労官が一体に

このソフトコンビナートのノウハウは、ドイツ産業見本市会社と7つの関連子会社に具現化されている。
また、ドイツ産業見本市会社の上部組織として、産業界代表8名、被雇用者代表7名および株主代表6名からなる経営委員会があり、財労官一体となってハノーバー・メッセの基本方針の決定、監督にあたっている。
ドイツ産業見本市会社の従業員は関連子会社も含めて約500名である。

ハノーバー・メッセの国際性

世界52カ国に設置された代表部の積極的なセールス活動も見逃すわけにはいかない。
これらの代表部はメッセのPR、業界団体・関連企業への出展の働きかけ、出展・参加の手続きの代行などのセールス、サービス活動にあたり、ハノーバー・メッセの国際性を支えている。

光ファイバーによる通信網

ドイツ産業見本市会社は、1990年にかけて約1000億円のメッセ会場への投資を決定し、新会議センター、光ファイバーによる通信網を完成させるなど、施設のいっそうの充実に取り組んでいる。

日本での取り組み

日本でも全国的にコンベンションブームである。
ハノーバー、アトランタなど欧米のコンベンション都市にならって、コンベンション・ビジネスを都市再開発の切り札として位置づけようと意気込む自治体が次々に現われている。

幕張メッセ、パシフィコ横浜、東京ビッグサイト

1989年モーターショーでにぎにぎしくオープンした日本コンベンションセンター(幕張)に続き、国際平和会議場(横浜)、国際展示場(東京)などが控えている。

運営のノウハウの蓄積がポイント

日本の実力からして、欧米コンベンション都市に負けない施設をつくることは100%可能であろう。
しかし、立派な施設だけでは人を呼べない。
コンベンションの企画、出展・参加へのセールス活動、出展企業・参加者に満足してもらえる運営のノウハウの蓄積がポイントである。
コンベンション・ビジネスの市場規模は10兆円とも20兆円ともいわれているが、ようやく活動を始めた日本のコンベンション・ビジネスがこれから自立し、国際的に認知されるには解決すべき課題が多い。

日本での今後の展開に期待
ソフトコンビナート

ハノーバー・メッセ・インダストリーには8日間で45万人以上のビジターが訪れる。
見本市会場は晴海の約5倍の広さを有する。
製造業の複合体がハードコンビナートとすると、このようなサービス産業の複合体をソフトコンビナートと呼んでいいだろう。
日本では千葉県の幕張メッセがこれであり、中核産業の1つとなろう。

ハノーバー・メッセを手本に

このソフトコンビナートの運営ノウハウはドイツ産業見本市会社と七つの関連子会社に具現化され、これらの会社は年間約170億円の売上げをあげている。
日本のコンベンション産業はようやく歩き始めたばかりであり、ハノーバー・メッセがコンベンション運営面でのよい手本となろう。

ハノーバー・メッセに見るコンベンション産業(1990年4月)

IT、通信関連の見本市の会場となる大規模コンベンションセンターとして世界的に有名な、ドイツのハノーバーについて紹介します。

世界有数のコンベンションセンター

ドイツのハノーバー・メッセ(産業・技術見本市)

ハノーバー・メッセは、西ドイツ経済復興の歴史であるとともに、メッセの王様でもある。 「見本市のなかの見本市 同一会場、同一会期に10の専門見本市」とのコンセプトが、主催者のそれへの自負を表わしている。 ハノーバーではハノーバー・メッセ(産業・技術見本市)をはじめとする国際見本市からローカル向けのものまで、年間50の見本市が開催され、出展企業は1万3700社、総ビジター数は210万人にのぼっている。

ドイツ産業見本市会社

ハノーバー・メッセを運営・管理するドイツ産業見本市会社(ダーザクセン州、ハノーバー市などの公的機関が出資)と7つの関連子会社の1987年度の売上げは、2億2400万ドイツマルク(約168億円)にのぼっている。

「輸出見本市」からスタート

西ドイツ、ハノーバーの工場跡地
1298社、3150万ドルの商談が成立

第二次大戦の戦勝国であるイギリスは、西ドイツへの経済援助で自国の財政が圧迫されることを恐れ、西ドイツに対して「輸出見本市」を1947年8月18日から9月7日に開催すべしという制約を課した。 西ドイツはハノーバーの焼け残った航空機のエンジン工場跡を突貫工事で整備し、なんと4カ月で輸出見本市の開催にこぎつけた。 このとき出展した1298社は3150万ドルの商談を成立させ、所期の目的は達成された。 ハノーバー・メッセはこのように不安なスタートを切ったわけであるが、1950年代に西ドイツ経済の復興と歩調を合わせて驚異的な発展を遂げた。

より充実した設備を整え、積極的に経営展開

ビジター用情報検索システム

国外からの出展も増え、名実ともに国際見本市として定着した。 そして、1960年代にはますます国際化していったが、オイルショックによるヨーロッパ経済の混乱がハノーバー・メッセをも直撃した。 1973、1974年と出展企業、ビジターともに減り続け、1972年の水準に回復するのに10年を要した。 この間、経営委員会のメンバーを大幅に入れ替えるとともに、インフォメーションセンター、会議場、プレスセンター、ビジター用情報検索システムなど、ソフト面の充実をはかるという積極的な経営を展開した。